ペルー、ボリビア、エクアドル3カ国によるキヌア・シンポジウム開催

22日、東京渋谷区にあるペルー大使館にて、ボリビア・エクアドル・ペルー3カ国によるアンデス・キヌア・シンポジウムが開催された(写真:キヌア料理のデモストレーションを行うペルー大使夫人)。

 

シンポジウムでは、3人の専門家による講演が行われた。最初に登場したのは、国内のキヌアブームを牽引している、東京農業大学の日高憲三先生。ボリビアでの現地調査の様子や、食品としてのキヌアの魅力や国内でのブームなどが伝えられた。

続いて、日本大学生物資源学部の磯部勝孝准教授の講演では、日本におけるキヌアの栽培について「キヌア栽培は、現在専用の機械がないなどの問題はあるが、北海道や九州地方でも栽培は可能」だという。10年の研究結果から、日本に適したキヌアの種類も分かってきたが、キヌアに有効な農薬などがないために、害虫発生をどうするかなどの問題がまだあるという。

また、大阪市立大学大学院・生活学研究の小西洋太郎教授は、キヌアを使った食品加工について、発表があった。低カロリーで低糖質なキヌアは、良質なタンパク質を含み、カルシウムも豊富な穀類だ。プチプチした食感でクセのない味なので、いろんな料理との相性もよい。

すでに、女性誌などでも、キヌアを扱っているレストランやカフェ情報がでている。海外の人気モデルが、キヌアをダイエットに活用していることが雑誌に取り上げられると、若い女性たちにちょっとしたキヌアブームが起きているくらいだ(写真左:日高憲三先生)。

日高先生は、「一時的なブームとして、キヌアに注目が集まるようなことにはしたくない」との考えから、キヌアブームを起こすのではなく、キヌアを取り入れた食卓を浸透させることが大切だと語った。

シンポジウムの後半では、エスカラ駐日ペルー大使夫人による、キヌアを使った家庭料理と大使館専任シェフのキヌア料理が、参加者の前で紹介された。

キヌアは、お米と同じように扱い炊くことで、スープに入れたり、ご飯のようにリゾット、またパン粉のかわりにもできる。

サラダやデザートにも、キヌアを使ったものが参加者たちにふるまわれ、キヌアを初めて体験した人からも、味がいいという声が上がっていた。

 

ペルーやボリビアでは、国際キヌア年の影響もあり、キヌアの輸出量が急増している。リマなどの都市部では、あまりなじみのなかったキヌアだが、有名主エフのガストン・アクリオ氏などが、キヌアを取り入れたレシピを紹介するなどもあり、キヌアは今一番注目されている食品だ。

ペルーやボリビアなどアンデスの厳しい生活の中で、育てられ先住民族の叡智が詰まった黄金の穀類キヌア。日高先生は「キヌアは健康を守る優れた穀類というだけではなく、生物の多様性を守りながら環境に適した農作物を作ってきた先住民族の文化も継承している」という。

すでに、キヌア専門のレシピ本も出版計画があり、日本国内のキヌアブームは、動いてきているようだ。

◆写真下左から:シンポジウム参加者、大使館シェフによるキヌア料理。下段左から後援者と3カ国大使。左)磯部勝孝准教授、エスカラ駐日ペルー大使、エクアドル駐日大使、ボリビア駐日大使、小西洋太郎教授、日高憲三先生)、キヌアを使ったサラダ。

 


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