アンデスに暮らす先住民族が作る織物に魅せられて。森井勇介写真展開催

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ペルーのアンデスに暮らし、アンデスの地で作られてきた織物を身にまとい生きる人たちをとらえた写真展が、東京・調布市にある富士フォトギャラリー調布で開催された。

「アンデスの先住民族」というテーマの写真には、森井さんが自ら暮らしたペルー・アンデスに暮らす人たちの、たくましく美しい表情があふれていた。標高4000メートルの生活は、厳しい。羊を育て畑を守る人たちは、寒暖差の激しいアンデスの生活の中で、独自の織物文化を発展させ、今に継承している。

森井さんは、バックデザイナーとして活躍している中で、アンデス地方に住む人たちの力強い姿と、美しい織物に惹かれ実際に南米を旅した。同地で家を借り7ヶ月間生活をする中で、織り方を習い、そして人々の生活に沿ってみたという。

他の南米の国では、すでに化学染料を使っているところも珍しくなかったが、ペルー・アンデス地方では、天然の染料を今も使い、羊毛やアルパカの毛を染めて織っていた。

その素朴な糸の風合いを残しつつ、手作業の織物は、緻密で独自の模様を入れ込みながら織られていく。慣れた人が作っても18時間織り続けて、やっと20センチくらいできあがるため、男性が身につけるポンチや女性たちを彩るマントとなると、そうとうな時間がかかる、その分愛着もあり織物は大切に継承されていくのだ。

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観光客が買い求めるものではなく、実際に人が使っている織物は、生活のにおいと彼らが受け継いできた文化や伝統が色濃く感じられる。そして苛酷な環境に生きている彼らに強く感銘を受けたと森井さん。展示されていた写真に映る人たちは、みんな働き者の手をしている。青く澄み切った空とアンデスの山々を背景に、人々の生活が切り取られたような写真が訪れた人の目を奪う。

会場には、森井さんが織りあげた織物も展示。また、アンティークの織物と合わせて作ったという、オリジナルのバックも置かれていた。

今も伝統的な衣装で生活する人たちがいる一方で、ごく一般的な洋服を取り入れている人たちも増えている。そうした近代化の波の中で、人々の生活もかわりつつあるという。展示されている写真は、長い森井さんの旅の一部。第二弾の写真展開催に、強く期待したい。

プロフィール/森井 勇介

1982年生まれ。バッグデザイナー。2007年よりファッションデザイナーとしてキャリアを摘む。2012年より民族衣装を探す旅を始める。北米、中米、南米の先住民族が生活する村々を巡り、民族衣装を纏う人々の生活を撮影してきた。昨年583日の旅を終え、無事帰国。現在、フリーランスとして、バッグのデザイン、ファッションデザインの講師として活動中。8月29日から9月10まで写真展開催。


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