ケイコ・フジモリ次期大統領、当選証書を受領 「国家を国民のために機能させる」と誓う

ペルーの次期大統領に選出されたケイコ・フジモリ氏(写真中央)が、同国の次期国家元首であることを正式に証明する当選証書を受け取った。式典は国家選挙審議会(JNE)の主催で国立劇場にて行われ、政府関係者や各界代表、招待客が出席した。
これは単なる儀礼的な行事ではない。当選証書の授与により選挙手続きは正式に終了し、いよいよ大統領権限の移譲に向けた新たな段階が始まったことになる。式典では副大統領に選出されたルイス・ガラレタ氏(写真右から3人目)、ミゲル・アンヘル・トーレス氏(写真左)も証書を受け取り、フジモリ氏とともに次期政権を担う体制が整った。
感謝と責任を胸に
証書を受け取ったフジモリ氏は演説の冒頭、選挙で寄せられた国民の信頼に感謝を述べた。そのうえで、次期政権が直面する課題を十分に認識しながら、強い決意と責任感をもって大統領職に臨む考えを示した。
演説で繰り返し強調されたのは、「選挙はすでに終わった。今こそ前を向くときだ」というメッセージだ。フジモリ氏は、ペルーには今、平和と発展、そして包摂を軸とした新たな時代が必要だと訴え、政治的立場の違いが再び越えられない壁になってはならないと語った。
自らの政党の関係者の努力をたたえる一方、選挙を戦った他党や政治勢力への敬意も忘れなかった。対立が際立った選挙戦を経た今こそ、対話と合意、そして共通の目標に基づく、まったく異なる姿勢が求められると説明した。
「すべての国民のために統治する」
演説で特に注目を集めたのは、国家と国民の距離について語った部分だ。フジモリ氏は、多くの国民にとって行政機関が日常の問題からかけ離れた存在になっている現実を認めた。手続きが何か月も滞る。家族が必要な医療を受けられない。地域住民が公共事業の完成を何年も待たされている――。
こうした現実を踏まえ、フジモリ氏はこう約束した。
「社会を窒息させている不平等と対立を終わらせるため、国家を国民のために機能させることをお約束します。民主主義は私たちに統治の権限を与えました。しかしペルー共和国は、それ以上に大きな義務を私たちに課しています。それは、すべての国民のために統治することです」
次期政権では、派手な発表を重ねることよりも、実際に問題を解決することを優先する方針も示した。机上の約束ではなく、目に見える成果を示す政治を目指すという姿勢だ。そのために政府は全国の地域を継続的に注視し、公約の進捗状況を定期的に確認していくとした。さらに各省庁には具体的な数値目標を課し、取り組みの進み具合を国民自身が確認・評価できる仕組みを導入する考えを明らかにした。何が約束され、どこまで実行され、何が残されているのか――それを国民が知ることのできる行政を目指す。
国家資源は効率的かつ透明に
予算や国家資源の管理についても、効率性と透明性を重視する方針を示した。公共事業や投資、生活に不可欠なサービスの遅れを招いている行政上の障害を減らすことが狙いだ。あわせて、国民の要望により迅速に対応できるよう、行政機関自体の能力強化にも取り組むとした。要するに、国家という機構を実際に機能させ、その機能を本当に国民のために使うということだ。
専門性と多様性を重視した組閣へ
次期閣僚評議会の構成については、政治的な所属だけを基準にするのではなく、経験と専門知識、実務能力を備えた人材を幅広く登用する方針を明らかにした。
「私たちの政府は、高い専門能力を持つ女性と男性によって構成されます。どの政党に所属しているかは問いません。多様性のなかでの団結を呼びかけます。考え方が違うからといって、敵になるわけではありません」
国を前進させるためには国民和解が不可欠だとも強調した。「憎しみをあおり続ける限り、どの政権もペルーを前進させることはできません」――長年にわたる政治危機と対立の連続で、行政機関への不信感が根強く残る現在のペルー社会に向けたメッセージだった。
治安対策とエルニーニョへの備え
演説の終盤、フジモリ氏はこれまでの政治経験を通じて、成功だけでなく過ちからも学んできたと振り返り、その経験を次期政権の運営に生かす考えを示した。
最優先課題の一つに挙げたのは恐喝犯罪との闘いだ。ペルー各地では商店主や運送業者、企業から一般家庭まで、恐喝被害が広がっている。また、今後発生する可能性の高いエルニーニョ現象を見据え、大雨や洪水など自然災害への予防策と緊急対応能力の強化が必要だとも述べた。
ペルーにとって歴史的な選挙
式典では国家選挙審議会のロベルト・ブルネオ会長が、今回の選挙が透明性を保って実施されたと評価し、その歴史的意義を強調した。ペルーでは今回、史上初めて国民による民主的選挙で女性大統領が選出された。
ブルネオ会長は、当選証書は単なる公式文書ではないと述べ、そこには何百万人もの国民から寄せられた信頼とともに、国家に対する重い責任が込められていると語った。
「この選挙は歴史に刻まれるでしょう。皆さんが受け取る当選証書は、大きな名誉であると同時に、重大な責任を意味します。その責任は、何百万人ものペルー国民の信頼から生まれたものです」
式典には多数の政府関係者や招待客が出席し、暫定大統領のホセ・マリア・バルカサル氏(写真中央、フジモリ氏の左側)の姿もあった。

当選証書の授与を終え、政権交代へのカウントダウンがいよいよ始まる。今回の移行は、ペルーにとって極めて難しい時期に行われることになる。弱体化した国家機関、早急な対応を要する課題の山積、そして次期政権に明確な成果を求める国民――。人々が求めているのは、結果であり、安定であり、そして国民に本当に寄り添う国家である。

