サイトアイコン ペルーニュース

ペルーの新しい二院制議会に、4人の日系政治家

政治のニュースは、数字と政党名、選挙結果だけで語られがちだ。しかし、その裏側には、移民の歴史とルーツ、そしてアイデンティティという、もう一つの物語が隠れていることがある。ペルーの日系社会にとって、今回のニュースはまさにそれに当たる。

2026年から2031年の任期を担うペルーの新しい二院制議会(上院=Senado、下院=Cámara de Diputados)に、4人の日系政治家が名を連ねることになった。マルコ・ミヤシロ・アラシロ氏、ラファエル・ヤマシロ・オレ氏、ディーテル・コロンブス・ムラタ氏、そしてミラグロス・タカヤマ・ヒメネス氏である。4人はいずれも、ケイコ・フジモリ新大統領率いる「フエルサ・ポプラール(Fuerza Popular/人民勢力党)」に所属し、それぞれ上院・下院の議席を得た。

ペルー議会は、フジモリ元大統領時代の1993年憲法下で一院制となって以来、実に30年以上ぶりに二院制へと回帰する。今回の4人の当選は、その節目の議会に日系人の存在感を刻む結果となった。


上院:治安の実務家と、地方の顔

マルコ・ミヤシロ・アラシロ氏(リマ首都圏選出・上院議員)

肩書:上院議員(フエルサ・ポプラール)、元警察治安担当次官

1953年リマ生まれ。ペルー国家警察の将官として、テロ組織「輝ける道」の指導者アビマエル・グスマンの逮捕作戦で知られる特殊情報部隊「GEIN(国家情報特別班)」の中心メンバーを務めた人物だ。この功績により、2017年には国会から「民主主義の英雄」の一人として表彰されている。

2015年にリマ市議、2016年には国会議員に初当選し、情報委員会の委員長(2016〜2018年)、監督委員会の委員長(2019年)を歴任。治安対策の専門家としての実績を武器に、今回は新設される上院でリマ首都圏を代表する。選挙戦でも治安・犯罪対策を前面に掲げており、上院では法案の審査・修正・否決権という「第二の関門」としての役割を担うことになる。

ラファエル・ヤマシロ・オレ氏(イカ州選出・上院議員)

肩書:上院議員(フエルサ・ポプラール)、元国会議員、元リマ市議

1963年、イカ生まれ。日系の父とペルーの名家オレ・デ・ロマーニャ家出身の母を持つ。リマ大学で経営学を学んだ後、マドリードやブリュッセルで政治・行政に関する研修を重ねた実務家肌の政治家だ。

2006年から2011年までイカ州選出の国会議員を務め、その後はキリスト教人民党(PPC)の幹部として活動、2015年から2018年にはリマ市議として道路事業や予算の監査に携わった。今回はフエルサ・ポプラールの候補としてイカ州で当選し、15年ぶりに国会へ復帰する。


下院:新議会の「入口」を担う2人

ディーテル・コロンブス・ムラタ氏(リマ選出・下院議員)

肩書:下院議員(フエルサ・ポプラール)、弁護士、大学講師

1981年リマ生まれ。サン・マルティン・デ・ポーレス大学などで選挙法や議会法を教える大学講師でもあり、著書に『なぜ私たちはこんなに困っているのか(¿Por qué estamos tan jodidos?)』がある政治アナリストの顔も持つ。

2020年から2021年にかけて一度国会議員を務めた経験があり、当時はフエルサ・ポプラール会派のスポークスパーソンにも選ばれた。2018年にはリマ市長選にも挑戦している。党内では政治教育担当の全国書記を務めるなど、党の理論的支柱としての役割も果たしてきた人物だ。下院は法案が最初に審議される場であり、政府に対する政治的監視の役割も担う、いわば新議会の「入口」にあたる。

ミラグロス・タカヤマ・ヒメネス氏(ランバイェケ州選出・下院議員)

肩書:下院議員(フエルサ・ポプラール)、弁護士

チクラヨ生まれ。チクラヨ大学で法学を学び、セサル・バジェホ大学で行政学の修士号を取得した弁護士。2009年からフエルサ・ポプラール(旧フエルサ2011)に所属し、党内では倫理・規律担当の全国書記や、党の法定代理人(personera legal)といった要職を歴任してきた党人である。

2016年から2019年(議会解散まで)に一度国会議員を務め、憲法訴追小委員会の委員長も経験している。2021年の大統領選決選投票では、党の法定代理人としてフエルサ・ポプラールの開票監視の陣頭に立った経歴も持つ。今回は地元ランバイェケ州で議席を得て、5年ぶりの国会復帰を果たした。


日系社会にとっての意味

ペルーへの日本人移民は1899年に始まり、120年を超える歴史を持つ。今回当選した4人は、いずれも日系一世・二世を祖に持ちながら、政治の世界では日系というルーツそのものよりも、警察官僚、弁護士、地方議員としての実務経験を積み重ねて議席を得てきた点が共通している。

新しい二院制議会の発足という歴史的な節目に、4人の日系政治家が名を連ねたという事実は、単なる偶然ではなく、ペルー社会における日系コミュニティの存在感の一端を示すものと言えるだろう。

(執筆/Noticias Nippon )

\ Get the latest news /

モバイルバージョンを終了