ペルー中央銀行 交差した手の神殿を刻んだ1ソル硬貨発行
ペルー中央銀行が、新しいモチーフをデザインした1ソル硬貨を発行した。
今回の新しい1ソル硬貨はワヌコ県にあるコトシュ遺跡で発見された、紀元前2500年から1800年ころにあたるミト期の「交差した手の神殿」がモチーフとして描かれている。
コトシュ遺跡は、アンデス文明の特徴である最古の宗教芸術を知ることができる神殿建築に特徴がある。1960年に東京大学アンデス地帯学術調査団が、大規模な発掘を行い紀元前2500年以降の石造建築物を多数発見した。最下層にあったミト期(紀元前2500年~1800年頃)の神殿群から、「交差した手の神殿」が発見された。人間の左右の手を交差したレリーフが、神殿内部の壁面を飾っており、ペルー最古の宗教芸術としてペルー国内でも注目を集めた。この交差した手は左が男性、右が女性でないかと推測されているが、発見後の不備から男性と思われる腕は崩落してしまった。現在切り取られた女性と思われる腕は国立考古学人類学歴史博物館に展示されている。東京大学総合研究博物館の文化人類部門には、調査当初の資料が保管されており、「交差した手」の石膏性レプリカがとその原型になった石膏型が保管されている。
ペルー中央銀行は、コレクション性のある1ソルのデザインをペルーの歴史や伝統を反映したものから選んでおり、これまでマチュピチュ、サンタ・カタリナ修道院、クントゥル・ワシ遺跡などが発表されている。
写真上:発行された1ソル
写真下:コトシュ遺跡の交差した手の神殿レプリカ