ペルー初のフロートガラス工場が開所 フジモリ大統領が式典に出席、投資額は最大1億5,000万ドル

中国資本の大型工場がカニェテに誕生。輸入依存の軽減や雇用創出、南米への輸出拠点化に期待

国内初の本格的なフロートガラス生産

【リマ・2026年10月7日】ペルーのケイコ・フジモリ大統領は7日、首都リマ南方のカニェテ県サン・ビセンテ・デ・カニェテ地区で、国内初となるフロートガラス工場の開所式に出席した。

工場を運営するのは、中国系企業グループTwyford Internationalと関係の深い「Keda Perú Building Materials Company S.R.L.」。建築用ガラスは、これまで大半を輸入に頼ってきた。国内での本格生産は、ペルーの製造業にとって新たな産業基盤となる可能性がある。

投資額について、大統領府は「1億3,000万ドル以上」と発表した。一方、ペルー全国工業協会(SNI)と国営アンディーナ通信は、総額を約1億5,000万ドルと伝えている。

フジモリ大統領は式典で、民間投資が国内産業の競争力向上や技術導入、雇用拡大につながるとの認識を示した。

1日最大600トンを生産

新工場は、1日あたり最大600トンのフロートガラスを生産できる設計だ。運営会社のKEDAによると、敷地面積は約60ヘクタール。透明ガラスのほか、青や灰色のガラス、表面加工を施したガラスなども製造する計画という。

フロートガラスは、高温で溶かしたガラスを液体のスズの上に流し、均一な厚さと平滑な表面の板ガラスに成形したもの。住宅の窓やドア、オフィスビルの外壁、商業施設のガラス面など、建設分野で幅広く使われている。

建設中は約1,000人を雇用、操業後も雇用拡大を見込む

地域経済への波及効果として注目されるのが雇用だ。建設期間中には約1,000人の雇用が生まれ、その大部分をペルー人労働者が占めたという。操業段階では、今後5年間で約850人の直接雇用を見込む。

大統領府は、将来的な恒久雇用を約800〜1,000人、関連産業を含む間接雇用を約2,000人と見通している。間接雇用には、原材料の供給、物流、設備の保守、輸送などが含まれる。

ただし、これらはいずれも今後の事業展開を前提とした予測で、発表された人数がすでに雇用されているわけではない。実際の影響は、操業開始後の採用状況や生産実績を見て確認する必要がある。

輸入依存を減らし、年7,000万ドル以上の外貨節約へ

ペルーはこれまで、建築用フロートガラスの多くを中国、マレーシア、インドネシア、チリなどから輸入してきた。新工場の稼働で、その一部が国産に置き換わると期待されている。事業計画では、輸入代替により年間7,000万ドル以上の外貨支出を削減できる可能性が示された。

SNIによると、企業側はガラスの原材料の約80%を国内で調達すると説明している。実現すれば、原材料の供給や関連サービスを担う地元企業にも新たな取引機会が生まれそうだ。

ただし、外貨節約の規模は、実際の生産量や国内需要、輸入品との価格競争力に左右される。現時点では見通しとして受け止める必要がある。

将来は南米向けの輸出拠点に

当面の目的は、ペルー国内のガラス需要を満たすことだ。そのうえで事業者は、ペルーを南米向けフロートガラスの輸出拠点に育てる構想を描いている。想定する輸出先は、エクアドル、コロンビア、ボリビア、チリなどの周辺国。ペルーの地理的位置や物流インフラが、南米市場への供給で強みになるとみている。

ただし、これは将来の事業構想にとどまる。これらの国への販売実績が確定しているわけではない。

中国企業の中南米進出の新たな足がかり

この工場は、Twyford Internationalにとって中南米初のガラス製造拠点となる。KEDAによると、事業は2023年に始まり、2026年9月には製造工程の中心となるガラス溶融炉に火が入った。その後、設備の試運転と生産準備を経て、10月7日の開所式を迎えた。

製造工程では天然ガスを使い、現地技術者の育成にも取り組む方針だ。同社の徐超(Xu Chao)総経理は、ペルー人労働者の参加を重視していると述べ、現地法人として本格的に事業を始める意義を強調した。将来的には年間1,500万ドル以上の税収貢献を見込むとの試算も示したが、この数字も売上や利益、操業状況によって変わる可能性がある。

フジモリ大統領「投資を雇用と国民の機会へ」

フジモリ大統領は、国内外からの投資を呼び込み、雇用創出と経済成長につなげる政府の方針をあらためて示した。民間投資の拡大が生産活動を活性化させ、国民生活や公共サービスの改善につながるとの考えも表明している。

また、1993年憲法が投資家の法的安定性を確保するうえで重要な役割を果たしてきたと述べ、父アルベルト・フジモリ元大統領の政権下で進められた経済政策にも言及した。外国資本の誘致や民間活動の促進、国内生産力の強化を重視する、現政権の姿勢を映す発言といえる。

フアン・カルロス・レケホ生産相も、国内産業の成長と雇用拡大につながる投資案件を政府として支援していく考えを示した。

ペルー経済にとっての意味

今回の工場開設の意義は、投資額の大きさだけではない。最大のポイントは、これまで輸入に頼ってきた重要な工業製品を、国内で大規模に作れるようになることだ。製造業の多様化に加え、関連産業の育成や技術移転、専門人材の確保にもつながる可能性がある。

カニェテ地域では、雇用の拡大や関連企業の進出が期待される。その一方で、こうした効果を持続的な地域発展につなげられるかが課題となる。国全体としても、輸入代替による外貨支出の削減や、新たな輸出産業の育成が実現するかが焦点だ。

今後は、生産量、恒久的な雇用者数、国内調達率、輸出実績、税収への貢献などを通じて、事業の成果を検証していくことが重要になる。

【参考資料】

  • ペルー共和国大統領府(2026年10月7日発表)
  • ペルー全国工業協会(SNI)
  • ペルー国営アンディーナ通信
  • KEDA Industrial Group
  • ペルー紙 El Comercio

Noticias Nippon|ペルー経済・日中南米ビジネス

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