コルネホ元運輸通信大臣、来日講演。ペルーの地デジ化成功は、日本方式から。

2月6日、東京紀尾井町にあるホテル・ニュー・オータニにて、エンリケ・コルネホ・ラミレース前ペルー運輸通信大臣の講演会が開催された。講演会では、ペルーが地デジ化に伴い日本方式を採用した経緯や、現在のペルーの経済状況について最新のデータを使い紹介された。

地デジの規格は、国際的に日本方式、欧州方式、米国方式、中国方式の4種類がある。南米では、コロンビアを除きほとんどが日本方式を採用しているが、南米の多くの国は欧州からの強い圧力もあり欧州方式が優位に採用されるように思われていた。

こうした歴史的事情とインフラ・システムを他国に推し進めるという難しさの中で、なぜペルーが日本方式を取り入れたか。またその後の波及について、交渉の当事者であり当時、運輸通信大臣の立場にあったコルネホ氏から、経緯を含めペルー側の判断がどこにあったのかが語られた。

ペルー政府が、地デジを日本方式に決定したことは、当時のアラン・ガルシア政権にとって、最も重要な出来事だったという。ペルーが2009年4月に、日本方式を採用すると公表してから、その後アルゼンチンやチリ、ボリビア、エクアドル、ベネズエラなども続いて日本方式を取り入れることになった。その結果日本側にとっても思わぬ進展でもあるが、同一の方式を採用していることで、地域統合を実現しやすくなったのも事実だ。

地デジ化は、ペルー国内の情報網に劇的な変化をもたらすツールだ。画像のきれいさだけではなく、テレビを超えて、パソコンや携帯電話などモバイル受信を通じて、様々なテレビ情報革命を起こすことができる。日本方式が選ばれた点は、まさにここにもあった。それぞれの方式を細かく検討した結果、日本は技術面、経済性、技術協力というところで断トツに優れていたというが、ワンセグが無料で行われるという点だったとコルネホ前運輸通信大臣は強調した。ワンセグの無料は、「テレビとその内容の民主化へのインセンティブ」になるという判断だったようだ。

講演会の第二部では、ペルー経済の現状と展望について解説が行われた。現在のペルーは政府債務残高がGDPに比例して格段に少なく、近年は6%強の経済成長を毎年維持している。また対外的には積極的に投資協定や自由貿易化を行ってきており、良好な投資環境を生かして、世界市場へのプラットフォーム化を進めてきている。

しかし、一方で約30%人たちが貧困にあるのも現実であり、ウマラ政権は引き続き、マクロ経済を安定させ持続的な成長を維持しながら、社会的な包摂を実現できる政策を推し進めてきている。現在、世界の中でも次の経済新興国として台頭してきているペルーが、成功を治めるためにどのような方向性で進むべきかをコルネホ元運輸通信大臣は明確に示した。

それは、多くの貧困から脱却した国が犯しがちな、「貧困と不平等を削減させる」というのを早急に行うのではなく、段階を経てまずは教育、続いて安定した投資を導入し経済の安定化を図ることがもっと正しいと語った。

そのためのプロセスを今のペルーは作っているところだ。また、今後20年でペルーはエネルギーマトリックスを変えている必要がある点も指摘。民間投資をもっと導入させながら、インフラ設備を整え、科学研究や技術開発を行っていき、世界の中で競争力を高めたいとの展望のようだ。

 


Follow me!