ペルー2026年:ケイコ・フジモリ氏と中国・米国の今後の関係

ペルーの選挙制度を簡単に理解するために

ペルーでは、大統領選挙は二回投票制で行われます。
第1回投票で有効票の50%を超える候補者がいない場合、上位2人が決選投票に進みます。

2026年の大統領選挙では、保守系候補のケイコ・フジモリ氏がロベルト・サンチェス氏を上回り、逆転が難しい差をつけたとみられています。正式な結果は、ペルーの選挙機関である国家選挙審議会(JNE)が最終的にしますが、2026年6月29日(日本時間)時点での票は、つぎのようになります。フジモリ氏は50.134%を獲得し、サンチェス氏に約49000票の差をつけています。

ペルー外交の新しい段階

フジモリ氏が政権を担う場合、ペルーは大きな課題を抱えた状態で新政権を迎えることになります。

主な課題は次の通りです。

  • 治安の悪化
  • 政治不信
  • 組織犯罪の拡大
  • 都市部と地方の対立
  • 経済成長を支えるための外国投資の確保

このため、新政権にとって外交政策は非常に重要になります。

米国との関係:より近い政治的パートナーへ

選挙戦でフジモリ氏は、米国との関係強化や米国企業からの投資拡大に前向きな姿勢を示してきました。

フジモリ政権が発足した場合、米国との関係では次のような動きが予想されます。

  1. 治安分野での協力強化

米国はこれまでも、ペルーに対して次の分野で協力してきました。

  • 麻薬対策
  • 組織犯罪対策
  • 国境管理
  • 警察・軍への訓練支援

フジモリ氏は治安対策を重視しているため、この分野で米国との連携がさらに強まる可能性があります。

  1. 米国からの投資拡大

ペルーは資源が豊富な国です。特に重要なのは、

  • 亜鉛
  • リチウム

などです。

米国にとって、これらの資源は経済的にも戦略的にも重要です。中国の影響力が南米で拡大する中、ワシントンはペルーとの関係をより重視する可能性があります。

  1. 外交面での連携

フジモリ政権は、米国と次の分野で協調する可能性があります。

  • 民主主義
  • 国際貿易
  • 地域安全保障
  • 移民問題

政治的には、米国寄りの姿勢が強まるとみられます。

一方で、ペルーにとって中国は無視できない存在であり、強力な経済パートナーです。

たとえフジモリ氏が政治的に米国へ近づいたとしても、経済面では中国との関係を維持せざるを得ません。

中国は現在、ペルーにとって重要な貿易相手国の一つであり、ペルー産の鉱物資源を大量に購入しています。また、中国企業は鉱業をはじめ、インフラ分野にも多額の投資を行っています。

チャンカイ港という重要カード

特に注目されているのが、ペルー中部のチャンカイ港です。

この巨大港は、南米とアジアを結ぶ物流拠点になることを目指しています。

中国にとっては、

  • 太平洋側の戦略的拠点
  • 物流コストの削減
  • 南米の資源へのアクセス拡大

という意味があります。

一方、ペルーにとっては、

  • 外国投資の受け入れ
  • 雇用の創出
  • 輸出拡大
  • アジア市場との結びつき強化

という利点があります。

そのため、新政権が中国との関係を急に冷え込ませる可能性は低いとみられます。

ペルーは米中どちらかを選ぶのか

おそらく、ペルーはどちらか一方だけを選ぶことはないでしょう。

より現実的なのは、米国とは政治・安全保障で近づき、中国とは経済・貿易で関係を続けるという形です。

米国とは

  • 治安協力
  • 政治的連携
  • 技術投資
  • 外交協力

中国とは

  • 貿易
  • インフラ投資
  • 鉱物資源の輸出
  • 港湾・物流分野の協力

このような「両にらみ外交」は、これまでのペルー外交でも見られた現実的な路線です。

新政権の本当の課題

フジモリ氏にとって本当の課題は、米国か中国かを単純に選ぶことではありません。

重要なのは、米中の競争をペルーの利益につなげられるかどうかです。

つまり、

  • より多くの投資を呼び込めるか
  • 雇用を増やせるか
  • 鉱業や港湾だけに頼らない成長を作れるか
  • 国家主権を守りながら大国と付き合えるか

という点が問われます。

【まとめ】

ケイコ・フジモリ氏が大統領に就任すれば、ペルーは政治・安全保障面では米国により近づく可能性があります。

しかし、中国はペルー経済にとって非常に重要な存在です。鉱物資源、港湾、インフラ、貿易を考えると、中国との関係を断つことは現実的ではありません。

そのため、最も可能性が高いのは、米国とは政治と安全保障、中国とは経済と貿易を重視する現実的な外交です。

ペルーは今後、米中対立の中で揺れる国ではなく、むしろその競争を利用して自国の成長につなげる国になれるかどうかが問われることになります。

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